ホビヲの四百文字

400文字くらいの文章を書きます。

糸を吐くために生まれてきた蚕、交尾を止められない蚕蛾

今週のお題「自由研究」

桑の葉を蚕に与える。彼らは、朝から晩までむしゃむしゃと食べている。耳をすませば喰む音が聞こえてくる。

あんなに小さかったのにあっという間に大きくなって、ある日突然、糸を吐く。蚕はこの糸を吐き出すために人間に作られた家畜である。そのためだけに作られた生き物だ。

しばらく経って繭を振るとカラコロと音がする。くり抜いて中から出すと蚕蛾になる準備の最中。そっと置いておくと、1週間ほどで蚕蛾になる。

不思議なことに蚕蛾には口がない。ものを食べられないのだ。交尾して子孫を残すためだけの存在。だからなのか、交尾を始めると止まらなくなる。くっついたお尻を離そうとすると体がちぎれそうになる。

交尾をして疲れて死んでしまうこともあるらしい。卵を産むのが目的じゃなかったのかとつっこみたくなるが、目的と手段があべこべになることはままあること。これこそが生物、宿命なのかもしれない。